【水切りシート比較】タイベック®フラッシングシートとアスファルトフェルト、何が違う?

開口部に施工される水切りシートについてご存知でしょうか。

水切りシートに関して「特にこだわりは持っていない」「建材店からオススメされたものをそのまま使っている」といった工務店様も多いのではないでしょうか。

水切りシートにも様々な種類があります。アスファルトフェルト、プラスチック成形品、透湿防水シートからできた水切りシートなど・・・万が一のことを考えて、どの水切りシートを使えば危険性を減らせるのか、悩んでいる工務店様もいらっしゃるかもしれません。

そこで本日は、水切りシートとしてよく用いられる「アスファルトフェルト」と、透湿防水シートで著名なタイベック®を基材とした透湿性能を持つ水切りシート「フラッシングシート」の2つについて、比較してご紹介いたします。

■水切りシートとは?

水切りシートとは、サッシを施工する前に開口部に施工することで、開口部からの雨漏りや漏水事故を防ぐ専用のシートです。

開口部だけでなく、バルコニーの笠木や軒天・下屋と壁の取り合いにも用いられます。

サッシから雨漏りする原因はコーキングの劣化、外壁のひび割れ、サッシ周りのゴムパッキンの劣化などがあります。また、水切りシートを貼るための防水テープの施工不良が原因の漏水事故も発生している事例もあります。

そして一度雨水が侵入してしまえば、外装材やサッシの内側の防水対策ですから、かんたんに補修できるわけではありません。こうした危険を防ぐために、サッシの下には水切りシートと呼ばれる専用のシートを施工することが推奨されています。

たとえコストがかさむとしても、雨漏り対策はパーフェクトを目指していきましょう。

ということで、ここからはフラッシングシートとアスファルトフェルト、それぞれの特徴について説明していきます。

①タイベック®フラッシングシートの特徴

タイベック®フラッシングシートは、外壁下地で用いられる透湿防水シートなどで用いられる「タイベック®」を基材として作られた、透湿水切りシートです。製造元はデュポン社、透湿する水切りシートというのは他にはない業界初の製品です。

開口部、またはバルコニー笠木で主に用いられます。軒天・下屋と壁の取り合いにも用いることができます。

水を通さない水切りシートですが、湿気を外に逃がす透湿性能を持ちますので結露の防止にも役立ちます。水切りシートとして雨水などが木材に侵入することを防ぐだけでなく、こもってしまうと腐食やカビの原因にもなる湿気を外に逃がし、住宅の寿命を伸ばします。

ちなみに素材は透湿防水シートと同じですが、厚みが2倍になっているため防水性能はタイベック®ハウスラップのおよそ2倍。30年相当の強度試験もクリアしている耐久性の高い製品です。

②アスファルトフェルト水切りシートの特徴

続いてアスファルトフェルト水切りシートです。

アスファルトフェルトとは、古紙に繊維くずを混ぜたアスファルトをしみ込ませた防水紙のことで、従来はモルタル仕上げの外壁など非通気工法の住宅の下地として用いられた防水シートです。

素材としては防水紙ですから素材としては水を通しません。湿気も含めて水分を完全にシャットアウトします。

そういった意味では水切りシートとして必須の性能を備えていますが、フラッシングシートのような透湿性能はありません。万が一、シートの隙間など予期せぬ場所から雨水または結露水がアスファルトフェルトの下に侵入した場合には、木材に染み込んでしまう可能性が高いです。

ちなみにコストにおいては、アスファルトフェルトのほうが安い場合が多く、ネット通販などでも手に入りやすいです。

フラッシングシートとアスファルトフェルト水切りシートの違い

表にまとめるとこちらです。以下、詳しく説明していきます。

フラッシングシートアスファルトフェルト
1.透湿性
2.重さ◯(1ロール約1.5kg)△(1ロール4.5~6.0kg)
3.施工のしやすさ
4.コスト◯(安価)

違いその1.透湿性

違いの1つ目はなんといっても透湿性です。

フラッシングシートは透湿性能を持っています。万が一施工箇所に雨水が侵入したり内部結露したりしたとしても、湿気として外部に排出して乾燥をうながし、カビなどを抑制してくれる効果があります。

一方、アスファルトフェルトは透湿しません。内部に入ってしまった水分は基本的には中にとどまります。結果として、木材や断熱材の腐食やカビといった劣化に繋がっていく可能性があります。防水という観点では大きな問題はないかもしれませんが、もしものことを考えると、少し不安が残ります。

違いその2.重さ

2つ目の違いは重さです。水切りシートは現場に運んでから、開口部やバルコニーなどのサイズに合わせてカットして使いますので、軽いほうが運びやすく、取り扱いしやすいです。

両者の重さを比較すると、一般的なアスファルトフェルト水切りシートの重さはフラッシングシートの約8倍もあります。(製造元のデュポン社調べ)

フラッシングシートは1ロール1.5キロです。330mm幅×40mの1ロールでたったの1.5キロ。片手で持てるくらいの重さですのでとても持ち運びしやすいです。

一方でアスファルトフェルト水切りシートは1ロール4.5キロ~6.0キロ程度。いくつかの商品を調べてみましたが、市販されているものは300mm×20mの1ロールで4.5キロ~6キロほどのものが多かったです。

違いその3.施工のしやすさ

3つ目の違いは施工のしやすさです。

フラッシングシートは薄く折り曲げやすいので施工しやすいという特徴があります。それを実現しているのは、シートの薄さ。アスファルトフェルトの厚み0.6~0.8mmに対して、フラッシングシートの厚みは0.34mmと2分の1。シートが薄いため折り曲げて固定しやすいです。

また、シートが薄いため現場に合わせてカットしやすいだけでなく、固定する際のタッカーも打ちやすくなります。

一方アスファルトフェルト少し厚みがあるため、製品によっては折り曲げても起き上がってきます。慣れの問題かもしれませんが、固定しにくく感じる方もいるかもしれません。(実際に、フラッシングシートに切り替えて、固定しやすくなったという声もいただいています)

違いその4.コスト

コスト面についても気になる部分かと思いますが、一般的にはアスファルトフェルト水切りシートのほうが使用範囲あたりの費用は安く済みます。フラッシングシートの方が値段が高い場合が多いです。

ここまでフラッシングシートの高い性能についてお伝えしてきました。透湿性能という唯一の性能を持ち、漏水事故のリスクを最小限に抑えることができるというメリットがフラッシングシートにはあります。これは工務店様や施工業者様はもちろん、施主様にとっての何よりの安心材料です。

住宅における事故の中には、引き渡しから1年以内など早いタイミングでの雨漏りの報告も多くされています。こうした事故によって工務店様自身の信用を失ってしまうよりは、コストをかけてでもなるべくリスクの少ない施工を心がけていただけたらと思います。

大工や現場監督からいただく生の声

当社ではフラッシングシートの販売を行っておりますので、アスファルトフェルトからフラッシングシートに切り替えていただいた工務店様の現場監督や大工の方からいただいた声をまとめてみました。

フラッシングシートに変えたことによるメリット

•「軽くて持ち運びがしやすく助かります」

•「1ロール40mで通常のものよりも長さが2倍のため、わざわざ取りに行かなくてすむから楽。かさばらないからいい。」

•「折り曲げやすくタッカーが打ちやすく助かる」

•「現場でカットするときに、カットしやすく助かる」

•「万が一水が入ってしまった際に透湿機能があるためアスファルトフェルトより安心できる」

•「施主にデュポン製品のものだから間違いないと自身を持って言えるようになった。」

このように、フラッシングシートに切り替えたことで、様々なメリットがあったようです。

一方でお話したところ、「コストも増えるしアスファルトフェルトのままでいい」という工務店様もいらっしゃいますが、我々としては雨漏り対策、防水の意識を高く持つ工務店様を増やしていくという強い思いで、このフラッシングシートを普及させていきたいと思っています。

よく工務店様から聞かれる質問

Q アスファルトフェルトに比べて薄いけど大丈夫?

A フラッシングシートは高い耐久性、強靭性を兼ね備えたタイベック®を基材としております。外壁下地として使われるタイベック®ハウスラップの2倍の厚みにすることにより、更に強い強靭性、耐久性を実現しました。それにより薄いながらも引っ搔きやひっぱりによる損傷にもしっかり対応でき長期に渡りしっかりと防水を保てます。また、万が一水が侵入しても湿気として排出するため透湿機能のないアスファルトフェルトなどの水切りシートと比べてもより安心です。


Q バルコニー笠木を固定する際にアスファルト系の方が安心できるんだけど、、、。

A 確かにビスを打つところに関してアスファルトフェルトのほうが防水性は高いと考えられます。フラッシングシートの製造元であるデュポン社にて推奨する施工方法は、ブチルテープ(50mm幅以上)を天端に張り、その上にフラッシングシートを被せる施工方法です。この施工方法をすることにより、ビスで固定した箇所もブチルテープによって水の侵入リスクを軽減することが出来ます。また、ブチルテープ非接着面からは透湿性能により湿気も排出するので、アスファルトフェルトのみの施工より更に漏水リスクの軽減、結露防止に繋がると考えられます。

■まとめ

いかがでしたでしょうか?

本日はデュポン製のフラッシングシートと、アスファルトフェルト水切りシートの違いについて比較してみました。

コストだけで判断するのではなく、雨漏りのリスク、住宅の寿命、施主様の安心な生活など、何を大事にするかをもう一度考えて、水切りシートとして何を使用するのか、今一度ご検討いただく機会かもしれません。

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デュポン™製品をご検討の際はぜひリックス工業株式会社までお問い合わせください。

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