バルコニー天端における水切りシートを用いた正しい防水施工の方法

住宅においてバルコニーは漏水事故が多発する箇所であり、防水施工が何よりも重要になります。

特に天端、笠木の劣化などからの雨水の侵入については事故事例も多く、バルコニーの躯体そのものが腐敗してしまう原因となっておりますので、バルコニーの防水は徹底した対応が必要です。

バルコニーの笠木における防水をサポートする代表的な部材が、水切りシートです。

特に水切りシートの中でも、当サイトにおいてはデュポン製のフラッシングシートの利用を推奨しております。透湿防水シートよりも厚く防水性が2倍、高耐久かつ透湿性能を持っているため、内側の湿気を外に追い出してくれます。

フラッシングシートの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

【タイベック®から作られた水切りシート】"フラッシングシート"はどんな商品?特徴は?

当社はデュポン™タイベック®の全国販売代理店として、住宅外壁下地用の透湿防水シート「デュポン™タイベック®シルバー」を中心とした建築資材を取り扱っております。 そん…

さてこの水切りシートなのですが、工務店様や現場の職人様へ話を聞くと、意外と正しい施工方法が知られておりません。

もちろんどんなに優れた部材でも、正しい施工を行わなければ事故が発生してしまう可能性は上がりますので、この機会に確認しておきましょう。

ということで今回は、デュポン製品のフラッシングシートを例にして、バルコニーにおける水切りシートの正しい施工方法についてお伝えしていきます。

※分かりやすいように当社推奨の以下商品を例にしています。
水切りシート:フラッシングシート
透湿防水シート:タイベックシルバー
防水ブチルテープ:ストレッチガード
(いずれもデュポン製品)

手順①バルコニー天端に水切りシートを鞍掛けしタッカー留め

まずはバルコニー周りへ透湿防水シート(上の絵ではタイベック®を使用しています)を施工します(図1)。

その後、天端に水切りシートを鞍掛けし、タッカーで固定します(図2)。水切りシートを鞍掛するとき、天端に施工した透湿防水シートの上からシート同士が90mm以上は重ねるようにしてください。

タッカー打ちは水平面ではなく垂直面へ

この固定においてとても重要なポイントがあります。それは、タッカーを打つ場所です。

鞍掛した水平部に打ってしまいがちですが、これではタッカー穴が真上を向いてしまい、タッカー穴から雨水が侵入してしまう危険性があります。小さな隙間でも水分は侵入してしまいます。

正しくは、シートの立ち下がり面のみにタッカーを打つが正解です。

御社の現場でもし徹底されていない場合は、タッカーを打つ場所まで徹底しましょう。

※もしどうしても水平部にタッカーを打つしかない場合や、笠木を固定するためにビスを打つ場合は、防水ブチルテープを先に捨て貼りしてからタッカーやビスを打つようにしてください。これにより、漏水の危険性が下がることが報告されています。(デュポン社調べ)

手順②-1(直交部)防水テープを外壁との接合部へ貼り付け

続いて、手順2の1つ目として、天端と外壁との接合部の施工になります。ここでは防水ブチルテープとしてデュポン製品のストレッチガード(一般部用)を用います。

水切りシートの施工において特に重要になるのがこうした取り合い部分の施工です。笠木と外壁の取り合い部分は劣化しやすく隙間になりやすいため、防水テープの施工は特に丁寧に行いましょう。

まずは剥離紙の大きい方を剥がします(図3)。

水切りシートに重ねてストレッチガードを天端側から貼り(図4)、

その後残りの剥離紙を剥がして外壁側に隙間ができないようにキッチリと貼っていきます(図5)。

ストレッチガードは伸長性のシートですので引っ張れば伸びます。シワや気泡がないか確認しながら施工できたら完了です。

動画でもご覧ください。

手順②-2(出隅部)防水ブチルテープを出隅部へ貼り付け

続いて、バルコニーの出隅部(角部)の施工のポイントです。こちらも劣化しやすい場所になりますので、丁寧な施工が必要です。ここでも防水ブチルテープとしてデュポン製のストレッチガード(出隅部用)を用います。

出隅部に向かっている両側の水切りシートの上へ、防水ブチルテープ(ストレッチガード)を貼っていきます。入隅側から先に立ち下げて貼り付けていきます(図4)。

その後、出隅側へもテープを立ち下げて、角部全体を覆うように施工します(図5)。出隅に折り曲げたテープの余分な部分が少し余りますので、折り曲げておくか、余りが大きくて邪魔になる場合は1センチ程残しカットする方法もありです。

動画でもご覧ください。

手順③外壁側の透湿防水シートを、防水ブチルテープの上から覆いかぶせるように施工する

ここまででバルコニーにおける水切りシートの施工は完了しましたので、最後は外壁側の透湿防水シートの施工になります。ここでは透湿防水シートのタイベックを用いています。

手順②-1で防水ブチルテープが外壁に向かってはられている状態ですので、その上から覆いかぶせるように外壁に透湿防水シートを施工するようにしましょう。

先程も触れましたが、透湿防水シートで防水テープから覆いかぶせるように施工しますので、水切りシートの施工のほうが順番が先です。バルコニーまわりの施工が完了する前に外壁側に透湿防水シートを施工しないように気をつけてください。

以上が、バルコニー周りにおける水切りシートの施工の正しい流れになります。

よく聞かれる質問

Q 外壁の透湿防水シートは先にすべて貼ってしまってもいいの?

A どちらでも可です。

デュポン社推奨の手順では、上記図2のように天端より上部の外壁に透湿防水シートは施工されていません。その後、バルコニー側の水切りシートの施工が完了してから、天端より上の外壁に透湿防水シートを貼る流れになります。

しかし実際の施工現場では、透湿防水シートをすべて一気に貼り、その後バルコニーの防水施工、という手順で進めるケースが多いのではないでしょうか。こうしたことから、透湿防水シートを貼る順番についてはよく工務店様や施工業者様から質問を受けます。

この答えですが、「どちらでも可」です。正確に施工していれば、両者とも防水性能にも大きく変化は発生しませんので、現場で施工しやすい方法を選びましょう。

なお先に透湿防水シートを貼っている場合は、防水ブチルテープを透湿防水シートに向かって貼り付けることになりますので、隙間ができないように十分注意してください。

後から透湿防水シートを貼る場合は、最終的に防水ブチルテープが透湿防水シートで隠れてしまうため目視で確認しにくくなります。隠れる前に施工品質を確認しておくようにしましょう。

Q 水切りシートを鞍掛せずにタイベック(透湿防水シート)を天端に折り返して使用しているけど、それではダメなの?

A その施工は推奨されていません。

特にデュポン製のタイベックに関して、壁など垂直部での使用を想定して耐久性など計算されていますが、水平部に施工した場合の耐久性や強度が想定されていません。

水平部は水分が留まりやすく、また工事中に靴で乗ったりして劣化する可能性もあります。

少しでも事故の可能性を減らすためにも、透湿防水シートよりも厚みがあって丈夫な水切りシートを鞍掛する施工をおすすめいたします。

■まとめ

いかがでしたでしょうか?

本日は水切りシートのバルコニーにおける正しい施工方法についてお伝えいたしました。

バルコニーはサッシなどと並んで漏水事故が発生しやすい場所ですので、水切りシートなどを用いて防水施工をしっかりと行っていただきたいです。

(Google画像検索より)

バルコニーが腐敗している悲惨な画像がネット上にUPされているのをよく拝見します。こうした事故が起こらないようにするためにも、施工する工務店様、施工会社様の丁寧な仕事が必要になります。

ぜひ念の為、現場で正しい施工をしているかどうかを今一度確認されてみてはいかがでしょうか。

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